「ミニバン欲しいけどミニバンって燃費悪いらしいね・・・」
「え?CVT搭載ミニバンは燃費が良い?」
「ところでCVTって何よ?」
室内が広くてなおかつ燃費も良いミニバンをネットで探していると聞き慣れないキーワード「CVT」。
謎の文字列「CVT」・・・・あなたも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
「CVT」とは、オートマトランスミッションのことですが、今回はその仕組みと、メリット・デメリットをCVT搭載のミニバンを例にして分かり易く解説したいと思います。
CVTとは?
CVTとは変速機の種類
普通のクルマのほとんどに搭載されている従来のオートマチックトランスミッションはDレンジに入れておくだけで1→2→3→4とアクセルを踏んでいるだけで自動的に変速します。(中には5速オートマ・6速オートマなどもありますが多くは4速)
CVTとは「オートマ」に属しますが、ただ従来の「1→2→3」のオートマとは仕組みが違います。
変速機って何だっけ?
免許証を持っている人なら知っていて当然なはずですが・・・やはり人間興味のないことはどんどんと忘れてしまいます。
「クルマは家族みんなで旅行したりお出かけしたりする為の手段でしか無い!」
「クルマは彼女とデートするための手段!ミッションがどうとか別に?・・・」
「クルマ?・・見た目がカワイければなんでも良いの」・・・・
そんなあなたはとっくに忘れてしまったのではないかと思います。
変速ギア付き自転車をイメージして下さい。
軽いギア→やや軽いギア→中間な感じのギア→やや重いギア→重いギア、と何段かギアがありますね?
自転車の変速ギアは漕ぐ足側のギアとタイヤ側のギアの組み合わせを変えることで変速させます。
(因みに足で漕ぐペダル側のギアが小さくてタイヤ側が大きいと軽い状態。ペダル側が大きくてタイヤ側が小さいと重くてスピードが出る状態。)
漕ぎ出す時は軽いギアが良いけど、スピードがのってきたら重いギアにしないと足が空回りするような感じになってしまい、それ以上スピードが出なくなりますので、ギアチェンジすると思います。
クルマの「変速機」とは自転車の「変速ギア」のようなもので、走行中 速度に応じたギアの組み合わせに換える事でエンジンの力を効率よくスピードに換える装置です。
CVTの仕組み
変速機の事を忘れてしまったあなたも上記で思い出して頂けたと思いますので、今度はCVTは普通のオートマと何が違うのか解説していきたいと思います。
上記はCVTの全体像。
2つの円錐状パーツ(「プーリー」と言う!)が互いに尖ったほうを向けてベルトを挟み込むような状態が2組並んでいる感じです。
2つの円錐状が近づいたり離れたりでギアの大きさを無段階に換えるようなイメージです。
これに対し「普通のオートマ」は大小様々な歯車が組み変わる事で変速します。
(厳密に言えばリングギア・プラネタリギア・サンギアという複雑なギアの組み合わせセットが複数あり、それが組み変わる事で変速する仕組みになっております。
つまり要約して表現するなら、歯車を使うのが「普通のオートマ」、ベルトと円錐状プーリーを使うのが「CVT」と言えます。
「仕組みはだいたいわかったけどだから何?」って思いますね?
「CVT」はあなたにとって何か良い事あるのか?
そこが一番重要だと思います。
それでは検証してみましょう!
「普通のオートマ」「CVT」運転した感覚の違いは?
オートマとCVTの運転時の感覚の違いを解説します。
普通のオートマ | CVT |
---|---|
アクセルを踏むとエンジンの回転数メーターの針が2千→3千→4千と上がりやがて自動で変速。すると2千くらいまでグンッと下がる。そのまま踏み続ければまた2千→3千→4千と回転が上がりまたグンッと下がる、これを繰り返しながら加速する。 軽自動車のような安価なクルマの場合変速ショックを強く感じる場合がある。(ある程度高価な最近のクルマはオートマチックトランスミッションの完成度が上がり変速ショックはほぼ感じない。) | アクセルを踏むとエンジンの回転数メーターの針の位置がほとんど変わらないまま加速する。 変速ショックがほぼ無い。 |
CVTのメリット・デメリット
CVTのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
エンジンが常に効率の良い回転数をキープできるので燃費が良くなる。 変速ショックがほぼ無い為、古いクルマでよくありがちなシフトチェンジする度の不快感が無い。 | 構造的にハイパワーエンジンに対応できない。 高速道路では普通のオートマよりも燃費が悪くなる場合がある。 歴史が深く改良に改良を重ねられた普通のオートマに比べ、CVTはまだ新しい技術のため車種によっては故障が多いことも。 |
燃費が良いイメージ強い「CVT」。
しかし、実は高速道路では逆に普通のオートマよりも悪くなる場合があります。
その理由は下記の通り。(少々難しいのでスルーして頂いてもOKです。この後のお話がわからなくなる事はありません。)
高速巡航時は図の通り、エンジン側の円錐状プーリーの直径は大きくなり、摩擦面が増え、ベルトを押す力も大きくなります。
それに対し、その押す力を受け取らなければならないタイヤ側の円錐状プーリーは小さくなり、受容力も小さくなります。
つまり、エンジンの押す力が持て余っている状態になり、受ける側が空回りしてしまう現象が発生する事があります。
それがパワーロスに繋がります。
ミニバンにCVTの組み合わせってどんなメリットがあるの?
セレナやステップワゴンなどファミリー向けのミニバンの主な用途はズバリ「街乗り」だと思います。
普段の買い物、お子さんの習い事や塾などへの送り迎え、通勤、休日に家族みんなでお出掛け、など。
日本の、特に都市部の道路では、進んでは信号ですぐ止まり、また発進、すぐにストップ、またまた発進、狭い道に入って歩行者の飛び出しを警戒しながらブレーキを踏んではアクセルを踏み直す・・・・そんな走りかたがほとんどです。
仮にクルマに興味がない女性からお年寄りまで全員がレーシングドライバーのような繊細なアクセルワークが出来るならそんな状況下でも無駄にエンジンが回ることもなく低燃費を実現できます。
しかし、現実、ほとんどの人が、特に発進時にアクセルの踏みすぎのケースが多く、無駄な燃料消費が繰り返されていると言えます。
CVTでは常にエンジン回転数に合わせたベストなギア比を維持するため、踏みすぎた場合、それがスピードに直結するため、ドライバーのアクセル踏みすぎが軽減されます。
また、上述の通り「アクセルを踏む」=「スピードに直結する」ので街乗りのような低速領域では「普通のオートマ」よりも少しパワフルに感じます。
しかし、1年に1~3回くらい高速道路を使って遠くへ旅行などもあるかと思います。
上記の通りCVTは高速領域が苦手で、事実ドイツのようなクルマの平均速度が高い国ではほとんど使われておりません。
しかし、高速領域が苦手と言っても、高速領域でアクセルを踏んだり放したりを繰り返すような運転が苦手というだけの事なのです。
高速領域でもアクセルの踏み加減を一定のまま維持できるなら、理論的には大きなロスはでません。
極稀に、真っ直ぐな平坦な道路なのに、無意識にアクセルを踏んで放してを繰り返す人がいます。
これはCVTにロスを与えるだけではなく、同乗者を酷く車酔いさせる原因でもありますので、CVTのミニバンを購入予定のパパママはこれを機会に今一度ご自身のアクセルワークを見直してみましょう。
お子さんと一緒に快適なドライブをしたいところですよね。
CVTのミニバンは何がある?
ノア・ヴォクシー70系
アイシス2000ccモデル
(注)アイシス1800ccモデルは「普通のオートマ」。
もし今、アイシスの中古をお探しなら、当社の豊富なアイシス在庫情報をご参考までにご覧ください。全車試乗も出来てトランスミッションの乗り心地も確かめられます。
エスティマ50系2.4lモデル
エスティマ30系・エスティマ50系の3.5lモデルは「普通のオートマ」
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ステップワゴンRG系
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オデッセイRB系(グレード)S・M・L
(注)オデッセイアブソルートは「普通のオートマ」
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セレナC25系
ミニバンの中でいち早くCVTを取り入れたセレナ。
その為、15年以上昔に新車販売された先代セレナC24型にもCVTは採用されていた。
しかし、当時まだ出始めの新しすぎる技術だったため、個体差やオーナーの運転技術によっては走行距離が僅か5万~6万キロを超えたあたりで寿命を迎える事もあった。
C25の「インテリジェントCVT」はその弱点を大幅に改善。トラブルは劇的に少なくなった。
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壊れやすい?CVTが故障する時の前兆
- 「コォォーーーー」という異音が発生する。
- アクセルを深く踏むと「キュィィィーーン」というモーター音のような異音が発生する。
- 発進時に「ガガガッ」という異音とともに振動が発生する。
- アクセルを深く踏むとやたらと回転数が上がる。
これらの症状が出た場合、そのCVTは間もなく寿命を迎えます。
修理はほとんどの場合でミッションを丸ごと載せ替える大手術になります。
新品では工賃込みで50万円ほど掛かってしまいます。
中古部品を分解整備した「リビルト品」なら30万円程。
「リビルト品」ではない中古部品の場合、交換してもまた同じ故障が起こる確率が高いため、価格の安さで間違った判断をしないよう注意が必要です。
まとめ
- CVTとは新しいシステムのオートマチックトランスミッション。
- ストップ&ゴーが多い街乗りでは「普通のオートマ」に比べ燃費が良くなる。
- 但し、高速道路ではやや燃費が悪くなる場合がある。
- 特に無意識にアクセルを踏んでは放してを繰り返す人は要注意。
- 「普通のオートマ」に比べ技術の歴史が浅いため搭載車種によっては壊れやすい。
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
この記事があなたの車選びに少しでもお役に立てば嬉しく思います。