みなさんこんにちは。
埼玉県入間郡三芳町にある、コミコミ80万円以下のミニバン専門店、ラインアップ代表の菊池です。
中古でミニバンなどを購入する時、気になるのがカーナビやバックカメラの映像を出すモニターで、TVも見られるのかどうか。
メーカー純正のカーナビはだいぶ前から装着車が多く、バックカメラの装着が早かったミニバンではモニター装着率も高くなっています。
しかし問題は2011年からの「地上TV放送デジタル化」で、それ以前のアナログ放送にしか対応していない場合は、どうしたらいいでしょうか?
まだ記憶に新しい「アナログ放送」の時代
かつて「地デジ」と言われ、新時代のTV放送が始まるよ!と盛んに宣伝が始まったのは2009年春頃からで、「地デジカ(地デ鹿)」という地デジTV用アンテナを頭に立てた鹿のキャラクターが発表されて、TVCMを開始。
それに対抗するようにアナログTV放送用アンテナを立てた「アナログマ(アナロ熊)」というパロディまで生まれ、去りゆくアナログ放送、いらっしゃいデジタル放送という雰囲気が形作られていきました。
実際には2003年から地上デジタル波放送は始まっており、2006年には全ての都道府県庁所在地で、2010年にはほぼ全国で地上デジタル放送が受信可能になっていたのですが、キャラクターまで作ってアナログからデジタルへ移行を促したのには、理由があります。
それは、アナログ放送とデジタル放送では「受信するアンテナやモニターに映像を映し出すためのチューナーが全く異なる」からで、視聴者はTVを買い換えるか、既存のTVにデジタル放送用チューナーを接続する必要性が生じました。
そのためアナログとデジタルの移行期間が設けられ、東日本大震災(2011年3月)の影響で若干延長はされたものの、2012年3月いっぱいでテレビの地上波は完全にデジタルに移行したのです。
そして世の中には、「買い替えや地デジチューナーの接続でデジタル放送が見られるようになったTV」と、「買い換えられず地デジチューナーも接続されないアナログTV」が残ったのでした。
ただし、TV放送とは家に置いてあるTVだけで見るものではありません。
携帯電話やカーナビなど、「TVも見られた機器」でアナログ放送にしか対応していなかったものの多くは、その機能を失ったまま年月を過ごすことになりました。
とある中古車店にて、「これ、TV見られるの?」という疑問
さて、時は過ぎて2018年。
埼玉県入間郡三芳町にある、とある中古車店へ中古のミニバンを見に来た家族連れがおりました。
まだまだ手のかかる子供のため予算に余裕は無いものの、広い車が欲しいと多少古くとも3列シートのミニバンを見に来たEさん(仮名)一家。
並んでいるミニバンは、多少古くともカーナビやバック時に後方を写すモニターが大抵は装着されています。
古いカーナビの中には、地図更新データが既に有料でも配布されていないものもありましたが、カーナビ機能はスマートフォンやタブレットで代用するとしても、モニターとしてはそのまま使えそうです。
しかし、そこで日頃からTVにはちょっとうるさいEさんの奥さんには、ちょっと気になることがありました。
奥さん「ねえ、さっきから年式の古いミニバンばかり見てるけど、これって地デジ対応してるの?家のTVもあの頃買い換えたでしょ。」
奥さんの疑問はもっともで、Eさんの自宅でも結婚前から使っていた大きく重たいブラウン管TVから地デジ化を機会に大型液晶TVに買い替え、はや2代目です。
Eさん「う~ん、どうだろ。年式としちゃ、最初に買った地デジのTVより古いよねこの車。見た目じゃわからないけど、映るのかな…?」
???「よくぞ聞いてくれました!」
うわっ!と驚き振り返ると、そこにはニコニコ笑って夫婦のやり取りを見守っていた中古車店員が。
店員「カーナビもTVも地デジ対応が売りになってた時代もありましたが、さすがにこの車はそれ以前のものですね。でも、中には地デジに対応させたものもありますし、今から対応も可能ですよ!」
後付け装着の地デジTVチューナー、いくつか種類があります
奥さん「そういえば、”地デジカ”とか宣伝してた頃、地デジチューナーってあったわよね?」
Eさん「それまでのTVにつければいいからって、ちょっと人気になったよね。」
店員「そうです、当時はビデオデッキ(お二人とも、それでわかる年代ですよね?)のチューナーでもTV見てたのと同じで、TVに接続する地デジチューナー使えば、モニターは何でも良かったんです。」
Eさん「でもウチでは、どうせお金かかるならってTVそのものを買い換えたんだよな。」
奥さん「じゃあ、このミニバンでもカーナビ入れ替える?」
地デジ対応の新品カーナビに入れ替える、それもひとつの方法ではありますが…予算は限られるがゆえにわりと低年式の中古ミニバンを見ていたEさん夫婦。
そこでカーナビを入れ替える予算があるなら、最初から高年式ミニバンを見ていたかもしれないと、店員も察します。
店員「まあ、カーナビの入れ替えは不可能じゃありませんが、バックモニターとの接続まで含めて予算はかかりますし、ハンドル側に純正カーナビの操作スイッチがある車種もあります。できればそのまま、地デジチューナーを追加するのが現実的でしょうね。」
ただし、地デジチューナーと一口に言っても、いくつかの種類があり、TVを見る頻度やモニターの大きさなどで適したものが変わってきます。
簡易で安価なワンセグと、データ量が豊富で高解像度のフルセグ
地上デジタル放送には大きく分けて「ワンセグ」と「フルセグ」の2種類があり、どちらも放送されるチャンネルや番組は一緒ですが、何でTVを見るかによって向き不向きが出てきます。
まず大きな違いですが、地上デジタル放送は流されている周波数を13に分割して放送しているのですが、このうち1つのだけを受信しているのが「ワンセグ」で、残り12を受信しているのが「フルセグ」です。
受信数の多さはそのままデータ量と考えてよく、映像をデータ化して送信しているデジタル放送においては、データ量の多い「フルセグ」の方が鮮明、かつ多少データが欠けて映像が乱れても、大抵は映像を移し続けます。
映像データ以外に天気予報やニュースなどのデータも送信しており、家庭のTVはまず全てが「フルセグ」だと思って良いでしょう。
それに対してデータ量の少ない「ワンセグ」は、ほぼ映像の送信のみに特化しているだけでなく、映像そのものもデータ量が少なくて済む低解像度映像になっています。
つまり、大画面だと粗い映像になってしまいますが、画面の小さい携帯電話やスマートフォン、後付けで安価なポータブルカーナビなどで見る分には普通のTVと同じ。
ただし、1つしか受信していないデータが途切れると、映像も音声も途切れてしまうため、電波の入りにくい場所ではTVを見られないこともある上に、移動中はやはり電波の入り具合によってよく映像が途切れてしまいます。
そのため、モバイル機器で多用される「ワンセグ」ですが、移動中の視聴には向かないので、「移動してから電波の入りやすい場所で見る」、車の場合は「どこか電波のよく入る駐車場などで止まって見る」のに向いているでしょう。
フルセグにはさらに「2×2チューナー」と「4×4チューナー」がある
それでは、車の場合は「フルセグ」の地デジチューナーを買っておけば、走行中でも見られて使い勝手が良い…かと言えば、実は「フルセグ」にも2種類があります。
それが「2×2チューナー」と「4×4チューナー」で、簡単に言えばアンテナとチューナーが2セットか4セットかという違い。
なぜそのような違いがあるかと言えば、これも車のように移動しながらデジタルTV電波を受信する場合に、大きな影響を与えるからです。
「ワンセグ」で説明したように、移動中に地形やビルの影、その他の理由で受信する電波は途切れることが多いのですが、その受信方法を複数持っていれば、一方で電波が途切れても、もう一方で受信を継続できます。
その数が多ければ多いほど途切れること無くTVを見ることができるので、「4×4チューナーのフルセグ」が自動車用としては最適ということに。
ただし、もちろんチューナーの数が増えればそれだけ高価になりますし、アンテナの数が増えれば取り付けの作業工賃も高くなってしまいます。
初期の自動車用4×4チューナーは車の四隅にアンテナをつけていたので、主に運転席周りに設置されるチューナーから長い配線を要するリアへの施工で、高い工賃を要しました。
現在はフロントに4つともアンテナをつける方式が主流なので工賃は以前より安くなったものの、それでも4×4チューナーの方が高いことには変わりません。
そのため、走行中のTV受信品質を何としても高いレベルに保ちたいなら4×4チューナー、そこは妥協して安価に収めたいなら2×2チューナーでも良い、という選択の仕方があります。
後付け用端子が無くても、最悪アナログチューナーさえあれば!
Eさん「なるほど~、ワンセグとかフルセグとかどんな違いかと思ったけど、いろいろあるんだね?」
奥さん「なるべく安く抑えたいけど、しょっちゅう電波が切れても困るウチなんかだと、2×2がいいのかしら?」
E「そうだね…あ、でも、それ以前にどんな車でもモニターあれば地デジチューナーつけられるの?」
どうやら、地デジチューナーさえつければ何とかなると、中古ミニバンの選択肢が増えて嬉しそうなEさん夫婦。
しかし、どんな車でもモニターさえあればいいかと言えばさにあらず、です。
店員「大抵のカーナビには、純正でも後付けでも、ビデオ入力端子がついてますからね。無い場合はメーカーからビデオ入力ハーネスを取り寄せられれば可能ですよ。ただ…中にはビデオ入力を全く考えてない機種があるのも確かなんです。」
Eさん「それじゃ、やっぱりこの車買おう!と思っても、調べてみたら地デジチューナーつけられない場合もあるんですね…。」
店員「はい、でも面白い製品がありますよ!地デジチューナーを接続できなくても、アナログチューナーさえあれば地デジを見られるんです!」
奥さん「え?アナログチューナーで見られないから地デジじゃないの?」
Eさんの奥さんがそう疑問に思うのはもっともですが、データシステムというカー用品メーカーで販売している「車載用ビデオモジュレーター(VMD431)」など、地デジチューナーからの信号をアナログ放送波に変換、アナログTVチューナーに接続する機械があるんですね。
つまり、使い道の無くなっていたアナログTVチューナーの再利用。
Eさん&奥さん「なるほど!アナログTVならそういう方法もあるんだ?!」
中古ミニバンでも地上デジタル放送を楽しもう!
店員「こんな感じで、モニターさえ付いていれば、地デジ、見ることが出来ますよ!」
Eさん「ありがとうございます!これでどのミニバン選んでも安心ですね。」
もっとも、先に紹介したように、地デジ完全以降は2012年でしたし、それからもう6年ほどたってますから、今売っている低年式の中古ミニバンでも、前オーナーの手で地デジチューナーの追加など、対応されているものもあります。
最初からそういう中古ミニバンを選ぶと追加出費は不要ですし、同じような年式でも価格に差がある場合は、そうした地デジ対応が行われている車かもしれません。
奥さん「ところで、走行中でもTV見られるの?ダンナはともかく私や子供は見たいな。」
店員「社外品のカーナビだと最初からそのへん無制限ですね。純正カーナビでも走行中の視聴制限解除キットありますし、ウチでも施工できますから、お任せ下さい!」
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
この記事があなたの車選びに少しでもお役に立てばうれしいです。