みなさんこんにちは。埼玉県入間郡三芳町にあるコミコミ80万円以下のミニバン専門店、ラインアップ代表の菊池です。
2007年には国内登録台数1位を獲得した日産セレナ(3代目・C25型)は、5ナンバークラストップクラスの広い室内空間と多彩なシートアレンジ、切り下がったフロントウインドウによる視認性抜群の視界と開放感で特にファミリーユーザーに人気のミニバンです。
2018年5月現在、10年落ちとはいえ、中古車市場では50万円~100万円の手頃な価格で購入出来るセレナ(3代目・C25型)が大人気となっています。
この型のセレナについては日産セレナってどんな車?【3代目 C25型】の記事で詳しく書いてありますのでぜひ参考にしてください。
そんなセレナですが、今現在乗っている方、これから中古購入を検討している方、どちらの方にも知っておいて欲しいことがこの型のセレナ(3代目・C25型)は「ラジエーターが弱い」ということです。
業界内では有名で、もし知らないという販売店や営業マンがいたら「この人セレナのこと全然わかってない!」と心の中で思って頂ければ幸いです(笑)
ラジエーターから水漏れがあるとオーバーヒートに直結し、最悪エンジンブローに繋がってしまい高額な修理費用が発生してしまうので、ラジエーターはとても重要なパーツになります。
ラジエーターって何?という方もいらっしゃると思いますので、水漏れの兆候が分かる危険な7つの事例とともに、分かり易く解説したいと思います。
そもそもラジエーターって何?
エンジンを冷やすための冷却装置:ラジエーター内のクーラントと呼ばれる冷却水をエンジン内へ循環させてエンジンが過剰に熱を持たないように冷やす必要があります。
熱くなった水を再度ラジエーターに戻し冷やして循環させる仕組みになっています。
水漏れを放っておくとオーバーヒート!
ラジエーターが水漏れをしてしまうとエンジンを冷やすことが出来ないため、オーバーヒートを引き起こしてしまいます。
その結果、エンジンブローに繋がりエンジンの修理や載せ替えなど40万円~50万円の高額な修理費がかかることも・・
でも、ラジエーターから水漏れしているかどうか早い段階で分かればラジエーターの交換費用だけで済みますので、次は水漏れしてるかもしれない危険な症状である7つの事例をご紹介していきます。
水漏れしてるかも?危険な7事例
1.焦げた臭いがする
車を運転しているときや降りた時などに焦げたような臭いがするときは水漏れの可能性があります。
これは、漏れた水(クーラント)が熱くなったエンジンなどに滴って「ジュ」と焼けた臭いになります。
(補足)漏れたエンジンオイルがエンジン周りで焼けて焦げた臭いがする場合もあり
2.ヒーター(暖房)から暖かい温風が出ない
例えば冬場などにヒーターを付けていて最初は温風が出ていたのにいつの間にかただの常温の風しか出なくなってきた・・
そんな時はラジエーターの冷却水が漏れて減っている確率が高いです。
なぜかというと、車のヒーターは循環している熱くなったラジエーターの水(お湯)を温風として利用している仕組みになっているからなんです。
なので、ラジエーターから水漏れしていて冷却水自体が減っている状態ではヒーターが効かなくなります。
3.地面にクーラント跡がある
クーラントと言うのは冷却水のことでセレナを駐車していた地面に緑色の水(日産純正クーラントは緑色)が垂れているならラジエーターの水漏れの疑いありです。
4.リザーブタンクのクーラント量が規定値以下
ラジエーター冷却水(クーラント)の予備タンク(リザーバータンク)の規定量を下回っている場合は冷却水漏れの疑いありです。
MAX(上限)とMIN(下限)の目盛りがありますのでチェックしましょう。
5.ラジエーター上部からクーラント漏れ跡!
日産純正の冷却水(クーラント)は緑色なのでまんべんなく漏れているのが分かると思います。
これはアウトです。完全に漏れていますのですぐにラジエーター交換が必要となります。
6.水温計が上昇(赤色に点灯)
前期型(平成17年~平成19年)は水温計の針が無く警告灯の色で判断するので気付きにくいので要注意。
エンジン始動直後は(青色)が点灯→正常範囲まで温まると消灯→範囲を超えて上昇すると高水温警告灯(赤色)が点灯
後期型(平成19年~平成22年)はファインビジョンメーターを搭載し、水温計のメーターが付くので分かり易くなっています。
セレナC25型の前期後期の見分け方については【徹底解説】セレナハイウェイスター(CC25)前期・後期の違いの記事に詳しく書かれていますので参考にしてください。
写真のように目盛りが真ん中あたりが正常値となり、上が高温「H」、下が低温「C」となり、高温の「H」付近まで目盛りが上昇するとラジエーター冷却水が異常高温になっており危険となります。
もし、高水温警告灯(赤色)が点灯したり「H」まで目盛りが上がってしまった場合、ビックリして不安になるかもしれませんが、とるべき正しい手順に従い2次災害を防ぐ必要がありますので後ほど詳しくお伝えしたいと思います。
7.エンジンルームから蒸気が出る
走行していて信号待ちなど停車したときにボンネットの隙間から蒸気がモクモクと上がってくることがあります。
これは高温になったラジエーター冷却水がどこかしらから漏れて吹き出し蒸気となって煙のように出てくることが原因です。
高温の熱い水でやけどしてしまうかもしれない危険な状態なので絶対にボンネットをすぐに開けてはいけません。
こうなったらお手上げなのですが、とるべき正しい手順がありますので次の項目で詳しくお伝えしたいと思います。
オーバーヒート対処方法
もし、走行中にオーバーヒートの症状が起きてしまった場合は正しい手順で対処する必要がります。
- 赤色の高水温警告灯が点灯した。
- 水温系の目盛りが「H」付近まで上昇してきた
- エンジンから蒸気があがってきた
具体的に上記の症状が発生した場合の対処方法をセレナの販売会社である日産のマニュアルを紹介します。
安全を確認しながら、走行車線から離れた場所へ車両を移動させます。
- 非常点滅表示灯を作動させます。
- パーキングブレーキをかけます。
- セレクトレバーを P に入れます。
エンジンは停止させないでください。
- すべての窓ガラスを開けます。
- A/C(エアコン)スイッチをOFFにし、マニュアルエアコン付車は温度調節ダイヤルを高温側に合わせ、風量切り替えダイヤルで風量を最大にします。オートエアコン付車は温度調節スイッチで最高温度にし、風量切り替えスイッチで風量を最大にします。
- 車両から降ります。
- ラジエーターから蒸気または冷却水が漏れ出していないかなど、音の確認や目視での点検をしてください。蒸気または冷却水が出なくなるまで待ってから作業を進めます。
- エンジンフードを開けます。
- 冷却ファンが作動しているか目視点検します。
- ラジエーターとラジエーターホースから冷却水が漏れていないか目視点検します。
冷却ファンが作動していないとき、または冷却水が漏れているときは、エンジンを停止させます。
12.エンジンが冷えてから、エンジンを始動させてリザーバータンク内の冷却水量を点検します。ラジエーターキャップは開けないでください。
13.必要に応じてリザーバータンクに冷却水を注入します。
ラジエーターの交換費用はいくらかかるの?
幸いにもエンジンにダメージがなく、ラジエーター交換だけで済む場合の交換費用の目安は下記となります。
・日産ディーラーでの交換費用
純正新品ラジエーター 本体64,200円+交換工賃20,000円前後=80,000円前後
・民間工場での交換費用
社外新品ラジエーター 本体10,000円+交換工賃20,000円前後=30,000円前後
ディーラーで純正品を使う場合と民間工場で社外品を使うのとでは3倍近く価格差があります。
どうしてかというと、セレナC25型のラジエーターは非常に弱く漏れやすいため需要が多いので、社外品が安価で出回っていることが理由です。
社外品も純正品も品質にはほとんど差がないので安い方を選んで問題ありません。
その他注意点
1.ホースから漏れることもある
ラジエーター本体以外から冷却水が漏れることもあります。
ラジエーターに結合しているホースの結合部やホースの亀裂から漏れるケースがあります。
2.冷却ファンの故障でオーバーヒートすることも
ラジエーターからもホースからも水漏れは一切していないのにオーバーヒートを示す高水温警告灯が点灯したり水温計の目盛りが上昇することがあります。
その場合は冷却ファンが作動していないケースがありますので、ファンの動作を確認してみましょう。
セレナC25の中古車を買うならココをチェック!
もし、これからセレナC25型(平成17年~平成22年)の中古車購入を検討しているなら、実際に中古車販売店に見に行った時にはボンネットを開けラジエーター周りを必ずチェックしましょう。
買った後すぐに水漏れして車が動かなくなってしまったり最悪オーバーヒートしてエンジン載せ替えで高額な修理費用がかかったら目も当てられませんよね・・
そこで、誰でも簡単にチェックできる項目をお伝えしたいと思います。
1.冷却水リザーブタンクのクーラント量が規定値内かどうか?
もしも下限である「MIN」を下回っている場合、冷却水(クーラント)が減っていることになりますので、どこからか漏れている可能性があります。
中古車店の店員に大丈夫なのか?安心出来る回答が得られない場合、買うのをやめた方が賢明かもしれません。
2.ラジエーター上部からクーラント漏れ跡がないか?
この写真は少し分かりずらいのですが、ラジエター上部の黒色アッパータンクに結合されている銀色のアルミ部分に薄緑色の結晶のようなものが付着しています。
このように、クーラント(冷却水)が漏れたり噴き上げたりした後に、緑色の固形物のような形で固着しているケースがありますので見逃さないよう注意が必要となります。
「これって水漏れ跡?」と疑わしいなと思ったら遠慮なく営業マンに聞いてみましょう。
「整備無し・保証無し」の激安店では営業マンが嫌な顔をしたりごまかすような事を言う確率が高いので後々トラブルになるケースが多いと言えます。
一方で、「確かに怪しいですね。納車前の整備の時に漏れをチェックして問題があれば修理しますので大丈夫ですよ」
こんな回答が得られれば安心ですね。そういうお店から買いたいものです。
2-1.すでに交換済みの場合もある
上記写真のようにすでにラジエーターが交換されている場合もあります。
見分け方は、ラジエーター上部のアッパータンク(黒色のプラスチックのような部品)がキレイなのですぐ分かると思います。
セレナに精通した一部の良心的な販売店ではシッカリとチェックを行い、新品に交換してから展示しています。
3.アフター保証の対象箇所か確認
購入前にラジエーター周辺を念入りにチェックし大丈夫だったとしても中古車ですから、納車してしばらく経ってから水漏れすることもあります。
そこで大切なのが販売店のアフター保証の有無と内容になります。
例えば価格の安さだけに釣られて「保証無し」のセレナを買った場合、納車され数カ月後にラジエーター水漏れが発生したとしても有料での修理となります。
そして水漏れが原因でオーバーヒートからエンジンブローしてしまった場合、同じように有料修理となり30万円~の高額な修理代がかかります。
「えっ!買ってまだ数カ月しか経っていないんだからお店で何とかしてくれるんじゃないの!?」と思う気持ちは分かりますが、「保証無し」とは一切の無償修理は行わない契約となりますので、まさに安物買いの銭失いになってしまうわけです。
ですので、購入後のアフター保証が充実している販売店から購入すれば万が一の時も安心です。
ただし、保証内容は販売店によって様々なので、ラジエーター水漏れに関してどこまで保証対象になっているのかは事前に確認しておく必要があります。
ちなみに当店のアフター保証のケースですと「スタンダートプラン・プレミアムプラン」に関してはラジエーター本体、ファン、ウォーターポンプとも無償保証対象となりますが、ホースに関しては対象外となります。
まとめ
中古車市場でも人気のある3代目セレナ(C25型)ですが、ラジエーター水漏れが持病としてあり、エンジンブローに直結する重要な箇所になりますので注意が必要です。
水漏れしているかもしれない危険な7事例として
- 焦げた臭いがする
- ヒーターから暖房が出ない
- 地面にクーラント跡がある
- リザーブタンクのクーラントが規定値以下
- ラジエーター上部からクーラント漏れ跡
- 水温計が上昇
- エンジンルームから蒸気
これらには注意が必要です。
そしてセレナC25型の中古車を下見する時には
- リザーブタンクのクーラント量が規定値内かどうか?
- ラジエーター上部からクーラント漏れ跡がないか?
- アフター保証の対象になっているか?
出来るだけ早い段階で水漏れしているかも?と疑うことでエンジン本体にダメージを負う確率もグッと減りますし、これから購入を検討されている方は購入前の確認をシッカリと行い、乗り始めてからも「セレナはラジエーターが弱い」ということを忘れずに乗ることで大きなトラブルを回避出れば幸いです。
今回の記事が、あなたの車選びに役立てばばうれしいです。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。