「3ナンバーだと税金が高くなるから5ナンバーの車で探しているんだよね」
「それと、燃費もやっぱり5ナンバーの方が良いでしょ!」
「3ナンバーだと車幅もあるし大き過ぎて運転出来ないしね…」
実際に当店に来場されたお客さんから3ナンバーと5ナンバーについてこんな声を聞くことがありますが、ひょっとしたらあなたも同じように思っていませんか?
結論から言うと、「税金」に関しては3ナンバーだから高い5ナンバーだから安いという決まりは一切ありません。もっと言えば、3ナンバーより5ナンバーの方が税金が高い車もあるんです。
「えっ!そうなの?じゃあ3ナンバーとか5ナンバーって何が違うの?」こういった疑問が沸いてくると思います。
そこで、今回は3ナンバーと5ナンバーの意味や車幅や税金の違いを素人のあなたにも分かり易く解説したいと思います。
自動車には、ボディの前後に必ず「ナンバープレート」が付いています。このナンバーは、自動車の個体を識別するのに必要なもの。取り外して自動車を運転することはもちろん、カバーで覆ったり折り曲げて見づらくするなどの行為は罰則の対象となります。
このように重要な役割を持つナンバーは、プレートの色はもちろん、表示される数字や文字にもそれぞれ意味を持っています。知識がある人が見れば、ナンバーからそのクルマの履歴やクルマに対するこだわりまで読み取れるのだとか。
そこで今回は、ナンバーについてちょっとだけディープな世界をご紹介しましょう。ナンバーは、自動車には必ず付いているもの。数字や文字の意味を知れば、今まで以上に充実したカーライフが送れるかも知れません。
意外と奥が深い、ナンバーに表示される文字と数字の意味
自動車のナンバーに関して広く知られているものに、プレートの色による違いがあります。たとえば、プレートの色が黄色なら軽自動車、緑色ならその車両がタクシーや運送業などのプロが使う営業車であることを示しています。
この他、各国の大使館で使われている車両では、ブルー地で白文字のナンバーが付いていることも今や常識といってよいでしょう。
では、ナンバーに表示される数字や文字に関してはどうでしょうか?
自家用の自動車に付けられる一般的なナンバーには、上のような文字や数字が配置されています。もちろん、これら文字や数字は、使用する書体や大きさ、配置の場所が決められています。また、それぞれに重要な意味を持っています。
ナンバーに表示される文字や数字には、図に示したような名前が付いています。そして、それぞれは次のような内容を示しています。
[使用の本拠の位置]
本来は、自動車の使用地を管轄する陸運支局、もしくは自動車検査登録事務所の所在地域を表すものです。しかし、2006年10月にご当地ナンバー制度がスタートしたことによって、必ずしも陸運支局または自動車検査登録事務所を表すものではなくなりました。
2014年11月に新しく10種類のご当地ナンバーが追加されたことにより、現在では全国で117種類の地名が利用されています。埼玉県では新しく川口と越谷が追加され、現在では7種類となっています。
どの地域で使用される車両かをざっくりと知る意味で、ここを気にするドライバーは多いようです。
[登録自走車の分類番号]
自動車の種別を示すものです。一般的な自家用車の場合、5もしくは3で始まる3桁の数字で表示されるのが普通です。現在3桁となっているこの番号は、かつては2桁でした。また、それ以前には1桁の時代もあります。希望番号制の導入などにより分類番号が3桁になったのは1999年からです。
分類番号の下2桁を見ると、ナンバーの番号をユーザーが指定したか否かが分かります。下2桁が00~29なら自動的に割り振られた番号、30~98ならユーザーが希望した番号ということになります。
ちなみに、この分類番号には、2017年1月からアルファベットが導入されることが発表されています。
自家用車には、以下の29種類が使われます。
さ・す・せ・そ・た・ち・つ・て・と・な・に・ぬ・ね・の・は・ひ・ふ・ほ・ま・み・む・め・も・や・ゆ・ら・り・る・ろ
「し」や「へ」がないのは、日本人的な配慮でしょうか?
ちなみに、レンタカーの場合は、「れ」か「わ」が使われます。
[一連指定番号]
自動車のナンバー中で一番大きな文字で表示される番号です。4桁が一般的なイメージがありますが、3桁以下の場合もあります。その場合、数字が入らない場所には「・」が表示されます。また、4桁の場合に表示される「-」が省略されます。
一連指定番号は、使用者の希望によって好みの番号を選ぶことが可能です。ただし、希望者の多い番号は抽選制となっています。
「3ナンバー」と「5ナンバー」、両者の違いは?
ナンバーに表示される各種の情報のうち、関心を示す人が多いのが「登録自走車の分類番号」です。
この数字が5から始まるか3から始まるかは、かつては自動車の“格”を示すものでした。
大手企業の重役や政治家などが使うのは分類番号が3から始まる“3ナンバー車”であり、日本においてそれは“高級車”と同義でした。
しかし、このようなイメージも、最近はかなり薄まった感があります。
もう、所有する自動車に付くナンバーが3ナンバーか5ナンバーで云々するような風潮はナンセンスといって良いでしょう。
そもそも、分類番号が5から始まるか3から始まるかは、その車両が“高級車”か否かで決まるものではありません。
現在、分類番号の一番左の数字には、1から8までの数字が用意されています。そして、これらは「自動車の範囲」と「自動車の区分」によって自動的に割り振られるようになっています。ごく簡単に説明すると、普通乗用自動車や小型貨物自動車といった自動車のタイプで決まっているのです。
一般の家庭で使用される自家用車には、3ナンバー車と5ナンバー車がありますが、これらの違いは自動車のボディサイズと排気量にあります。
ボディサイズでは、全長4700mm/全幅1700mm/全高2000mmが5ナンバー車の最大寸法となります。
また、エンジン排気量では2000ccまでが5ナンバーの範疇です(ガソリン車の場合。ディーゼル車は排気量の制限なし)。
これらの要件をすべて満たす車両に付けられるのが5ナンバーというわけです。
逆に、これらの要素のうちひとつでも規定の数値を超えると3ナンバーとなります。
たとえば、今なお人気が高いスポーツカーである3代目ポルシェ911(964型)は、全長/全幅/全高のすべてが5ナンバーの規定サイズを大幅に下回る非常にコンパクトな車体を持っています。
しかし、エンジン排気量が3600ccあるので3ナンバー車となります。
同じ車種で3ナンバー/5ナンバーに分かれることも
現代では、衝突時の安全性確保や居住性の向上などのために、自動車のサイズが大型化する傾向にあります。このため、5ナンバー車であっても、規定いっぱいのサイズで設計される場面が増えているようです。
このような状況では、同じ車種でもグレードやオプション類の違いによって3ナンバーになる場合と5ナンバーになる場合があります。
たとえば日産のセレナC25型では、「ハイウェイスター」のグレードが全長/全幅ともに5ナンバーの規定サイズを超え、3ナンバーとなります。
また、トヨタのノア/ヴォクシー70系では、エアロパーツをまとったノアSiとヴォクシーZSのグレードが3ナンバー登録となります。
3ナンバー/5ナンバーの維持費の違いは?
環境性能を重視した最近の自動車では、3ナンバーサイズのボディを持ちながら1500ccに満たない小さめのエンジンを搭載したモデルも増えています。
かつての3ナンバー車は、5ナンバー車よりもエンジンの排気量が大きいのが普通でした。
これは、馬力がありスピードが出ることを意味します。また、装備類も立派でゴージャスな雰囲気がありました。
しかし今では、3ナンバー車と5ナンバー車に以前のようなイメージの差は感じられないはずです。
10年以上前までは、3ナンバー車を「普通乗用車」、5ナンバー車を「小型乗用車」と呼ぶ時代もありましたが、現在ではこのような呼び方をすることもありません。
これは、実は維持費についても同様です。3ナンバー車と5ナンバー車の間で、ナンバーの違いによる維持費の違いはありません。3ナンバー車の維持費が高いような雰囲気があるとすれば、それはエンジン排気量が大きかった、昔の3ナンバー車のイメージによるものだと思われます。
自動車に関する税金で金額の大きなものには、重量税と自動車税があります。しかし、これらは3ナンバーと5ナンバーの違いによって差が出るものではありません。
■自動車重量税(乗用、2年自家用)*重量税は、その名の通り、車両の重量に応じて金額が変わるものです。
車両重量(㌧) | 免税 | 減税50% |
~0.5 | ¥0 | ¥2,500 |
~1.0 | ¥0 | ¥5,000 |
~1.5 | ¥0 | ¥7,500 |
~2.0 | ¥0 | ¥10,000 |
~2.5 | ¥0 | ¥12,500 |
~3.0 | ¥0 | ¥15,000 |
車両重量(㌧) | エコカー | 13年未満 |
~0.5 | ¥5,000 | ¥8,200 |
~1.0 | ¥10,000 | ¥16,400 |
~1.5 | ¥15,000 | ¥24,600 |
~2.0 | ¥20,000 | ¥32,800 |
~2.5 | ¥25,000 | ¥41,000 |
~3.0 | ¥30,000 | ¥49,200 |
車両重量(㌧) | 13年経過 | 18年経過 |
~0.5 | ¥11,400 | ¥12,600 |
~1.0 | ¥22,800 | ¥25,200 |
~1.5 | ¥34,200 | ¥37,800 |
~2.0 | ¥45,600 | ¥50,400 |
~2.5 | ¥57,000 | ¥63,000 |
~3.0 | ¥68,400 | ¥75,600 |
■自動車税額(乗用車)
排気量(cc) | 税額(減税適用前) |
~1000 | ¥29,500 |
~1500 | ¥34,500 |
~2000 | ¥39,500 |
~2500 | ¥45,000 |
~3000 | ¥51,000 |
~3500 | ¥58,000 |
~4000 | ¥66,500 |
~4500 | ¥76,500 |
~6000 | ¥88,000 |
6000~ | ¥111,000 |
また、自動車税はエンジンの総排気量によって税額が変わります。
仮に1800ccのエンジンを搭載する5ナンバー車と1400ccのエンジンを搭載する3ナンバー車があったとすると、3ナンバー車の方が自動車税は5000円安いという、意外なことが起こります。
まとめ
自動車の維持に必要な費用としては、この他に自動車取得税や自賠責保険料などがあります。しかし、これらも3ナンバー車と5ナンバー車で違いはありません。
本文中で触れたように、3ナンバーと5ナンバーは車体のサイズとエンジンの排気量だけで決まります。これを覚えるだけで、ナンバーの違いはかなりスッキリと理解できるはずです。
これまでのイメージから、何となく5ナンバーより3ナンバーの方が上級で上質な雰囲気があります。しかし、実際にはそのようなことはありません。維持費の面でもナンバーの違いによる差はありませんから、ナンバーの数字にとらわれず、好きなクルマに乗りましょう!
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
この記事があなたの車選びに少しでもお役に立てばうれしいです。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
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