上画像はいったい何しているのか?
「4WD」をわかりやすくご説明するためクルマをクレーンで吊り上げた図である。
この状態でエンジンON。ギアをドライブに入れてみます。
画像はタイヤの回転がわかりやすいように、タイヤ表面に赤いマーカーを付けております。
このように走行中に4つのタイヤ全てにエンジンからの動力が伝わっているモノを4WDと言います。
「え?そんなの当たり前でしょ?」
「クルマなんか興味ない」そんなあなたはそう思ったかもしれません。
ですが、実は、2017年現在、日本の道路を走っているクルマは、下図のようなクルマがほとんどなのです!
どうでしょう?驚きましたか?動力が伝わっているのは前のタイヤだけなんですね~。
後のタイヤは前のタイヤに引っ張られているだけなんです。
このような前輪のみが駆動するタイプを「FF」「FF車」「前輪駆動」「フロントドライブ」などと呼びます。
中には専門的な表現として「FWD」なんて言う人もいます。
また、今回画像は用意しておりませんが、30年以上昔の古いクルマの多くは後のタイヤにのみ動力が伝わっているタイプが主流でした。
それらは「FR」「後輪駆動」「リアドライブ」などと呼ばれます。
また「FF」と「FR」の事を「2WD」と表現する場合があります。
また、厳密には意味が変わってきてしまいますが「4WD」を「AWD」と表現する場合もあります。
「WD」とは「Wheel Drive」【ホイールドライブ】の略。
「AWD」「A」は「All」を表しており「全てのホイールをドライブする」という意味。
名称 | 他の呼び名 | 駆動輪 |
---|---|---|
4WD | 四駆・四輪駆動・AWD | 4つのタイヤが駆動する |
FF | FF車・前輪駆動・フロントドライブ・2WD・FWD | 前2つのタイヤが駆動する |
FR | FR車・後輪駆動・リアドライブ・2WD・RWD | 後2つのタイヤが駆動する |
ここで少々聞き慣れない言葉「駆動」に付いて説明しておきましょう。
「駆動」とは?
エンジンからの動力で回転する(タイヤの)事。
駆動するタイヤを「駆動輪」と表現します。
今回のメインテーマは4つのタイヤが駆動する「4WD」に付いてです。
「どのタイヤが回っていようがどうでも良いです・・・」クルマ自体に興味がない人はそう思うかもしれません。
しかし、クルマに乗ってスキー・スノボーに行く人、海に行って浜までクルマで降りる人、ちょっとメリットがあるかもしれません。
それはどんなメリットなのか、また逆にデメリットもあるのか、わかりやすく解説したいと思います。
Q:4つのタイヤが駆動すると何か良い事あるの?
- 4WDのメリット
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- 雪道・砂浜でタイヤが深みに嵌って(はまって)前に進めなくなる事態になりにくい。
- 雨の日・雪の日に、スリップしにくい。(限度があります。基本的に道路が滑る日はゆっくり走りましょう。)
雪が多い地域に住んでいる人、スキー・スノボーが好きな人、海が好きで砂浜にクルマで乗り入れる人ならタイヤが嵌まり込んで前に進まない!なんて状況に一度は陥った事があるのではないでしょうか?
そんな時簡単に抜け出せるなら今後そんな不安を抱えなくて済みますよね。
また、主に「スリップを防止したい」事が目的であれば、4WDほどではないが、スリップを防止してくれる「横滑り防止装置」が付いたクルマを選ぶのも効果があります。
- 4WDのデメリット
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- 燃費が少々悪化する。
- 同じ車種でFF車の設定もあるクルマの場合、それに比べて動きが重い場合がある。
- 新車で買う場合はFF車よりも高価になる。
- 2WDに比べ、部品が多くなるので車体重量が重くなる。
- 例えばトヨタアイシス(1800ccモデル)の場合、車検の時に払う「重量税」がFF車の場合は1㌧~1.5㌧の税額だが、4WD車の場合は1.5㌧~2㌧の税額になってしまう。(少し高くなる)
Q:どうして燃費が悪くなるの?
下はFF車の構造を表した図である。
図は左がクルマの前部となるが、クルマの前部だけに走る為の重要な機構が全て収められておりとてもシンプルです。
それに対し4WDは少々複雑になります。
(デフ:正式名称はデファレンシャルギアという!)
車体前部にあるエンジンの回転を「プロペラシャフト」を伝って車体後部まで持っていくのですが、そのシャフトの重さで少しエネルギーロスをします。
その後、縦回転を横回転に変換する「デフ」を通ってタイヤまで回転が伝わりますが、その「デフ」では複雑なギアがたくさん詰まっているため、ここでも重たい抵抗でエネルギーロスをします。
例えば重いブーツを履いてお出かけしようとした時、気が付けば電車が出てしまう時刻!走らなきゃ!・・・ダッシュするが、スポーツシューズを履いている時のようなスピードが出ない!なんか疲れる!・・・そんな経験がないでしょうか?
「動かす足」に重量物が有る状態で走る事はエネルギーロスをします。
FF車のように回転している源に重量物が少ない状態ならば、その分エンジンに求められる力は小さくて済みます。
このようなエンジンの負担分が燃費の差となって現れるのです。
Q:燃費はどのくらい悪化するの?!
高性能スポーツカーや悪路を走るジープみたいなクルマに付いている4WDと、トヨタアルファード・エスティマなどのミニバンを始めとする、普通の人が普通に乗るクルマに付いた4WDは、同じ4WDでも少々異なります。
前者のジープタイプ(クロカン系)など高性能な4WDの走行性能は普通のクルマに比べ段違いに高レベルですが、その代わりに燃費性能も段違いに悪くなります。
後者のファミリーカーミニバンタイプの4WD車のほとんどは、年式がだいたい2003年式以上のクルマならば、効率化が考えられており、普段前のタイヤだけが駆動し、前のタイヤが滑った時だけ後のタイヤが駆動する仕組みとなってますので、燃費は僅かに悪くなる程度です。
具体例ですとアルファード10系・エスティマ30系50系・ノア・ヴォクシー70系・セレナC25・エリシオン・オデッセイRB系・ステップワゴンRG系は、全車FF車と4WD車の設定がありますが、どれも大きな差はなく、1リッターあたり1km前後の差になります。
(個体差やオーナーの運転技術によって極端に燃費が悪い例があります。)
まとめ・雪が多い地域に住んでいるわたしは「4WD」を選んだほうが良い?
まだ記憶に新しい、今年1月の鳥取の大雪。
雪に対する備えがほとんど無い地域での突然の大雪で、県内の道路では前に進めず多くのクルマが15時間も立ち往生したという。
この事件では、近所の住民が立ち往生しているドライバーたちに温かい食べ物などを振る舞ったそうですが、もしも、そんなサポートをしてくれる民家が無かったら事態はもっと深刻なものになっていたでしょう。
「雪道に嵌ってどうやっても前に進めない」・・・その絶望感を知っている人は少なくないはずです。
住んでいる所が、その地域の都市部などで、雪が降っても道路は交通量が多くてすぐ溶ける、また、その地域の自治体などが雪に対する備えが十分ですぐに除雪される、などであればFF車でもスタッドレスタイヤをきちんと装備する事で問題なくクルマの運行はできると思います。
但し、いつまでも深い雪が残っているようなエリアの場合、スタッドレスを装備したくらいではどうにもならない事があります。
そんな人には「4WD」は必須機能かもしれません。
また、冒頭でもあった普段スキー・スノボーなどで雪山に多く行く人や、海で砂浜にクルマで降りる事が多い人も一考の余地はあると思います。
注意!雪道での急ブレーキは4WDであろうが関係なく止まれない!
4WDは雪道などの滑る路面に対して無敵の性能を発揮すると勘違いしている人は多い
確かに、滑る路面で停止状態からアクセルを踏んで進む時や、2WDでは登れない雪が積もった上り坂でも「無敵」と言っても過言ではないほど普通に前に進めます。
さらには、スリップしにくいという走行安定性も備えます。
但し、「ブレーキ」だけは「4WD」だろうが「FF」だろうが滑る路面なら関係なく滑ります。
雪道では安全運転を心がけましょう。
注意!4WDの中古車を買うときは錆・腐食に要注意!
4WDの車はその特性から、雪国で使用されていたケースが多いため、4WDの中古車を購入する際には、錆(サビ)・腐食(フショク)で下廻りなどボディがやられているケースが多々あります。
東北地方や北海道、山岳エリアで開催されているオークション会場ではそのような錆・腐食でやられている4WDの中古車が多い傾向にあり、注意が必要です。
実際に現車を見れるのであれば、下回りをのぞき込んだ時に見えるマフラーや足回り、エンジンンルーム、ブレーキ、などの錆具をチェックした方が良いでしょう。
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
この記事があなたの車選びに少しでもお役に立てば嬉しく思います。