みなさんこんにちは。
埼玉県にある、ミニバンのみを扱う、格安中古車専門店、ラインアップ代表の菊池です。
高速道路など有料道路の料金を、停止することなく自動で収受してくれる「ETC」。
料金所の一般有人レーンに並ぶ車を見ると、まだ完全に普及したとも言い難いですが、既に新規格「ETC2.0」が登場し、これからETC車載器を買おうという人だけでなく、従来からETCを使っている人でも気になる人も多いかと思います。
特に家族での長距離ドライブが多いミニバンユーザーを中心に、ETCとETC2.0ではどのような違いがあり、導入するだけのメリットはあるのかどうか?ご説明しましょう。
ETCもつけないうちに「ETC2.0」が登場した!どう違うの?
既にETCを何年も使っているという人もいれば、「料金所でちょっと並ぶ手間のために、わざわざ金を出してETCをつける必要は無い」という人もいると思います。
特に日本では「支払はだんぜん現金派!」という人も数多く、電子マネーどころかクレジットカード清算も普及していないことに外国人観光客が驚くほどで、現金を手渡ししないETCに抵抗が多い人も多いでしょう。
しかし、日本でもようやく電子マネーの普及が進み、世代交代が進むに従って現金精算にこだわる人はどんどん減っていく流れです。
それに伴い、ETC車載器(以下、車載器)を車に装着する人も増えていますが、新しい機種ではETC2.0対応車載器(以下2.0車載器)がほとんどになりました。
しかし、ETCでさえまだ使ったことが無いのに、ETC2.0とは何?という人も多いはずです。
自分の家族、あるいは両親や親戚を乗せた有料道路での長距離移動も多くなるミニバンユーザーの場合は、便利になるならETCをつけたい人も多いでしょう。
中古ミニバンで購入時から車載器がついていたり、無い場合は前の車から外したり、安く手に入れた中古機種を使うか。
あるいは、少々値が張っても良質なサービスを受けられるならETC2.0車載器を新たに買うか、判断基準が欲しいところです。
そのためにも、まずはETCとETC2.0の違いを把握しておきましょう。
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それだけでも割と十分な、従来型「ETC」の機能
知っている方は読み飛ばしても良いですが、まず従来から存在した「ETC」の機能について。
基本的には以下のように、単純な機能になります。
- 高速道路など有料道路の料金所通過の際に、料金を自動精算
- 精算された料金は、車載器に挿入されたETCカードの種類により、クレジットカード(ETCクレジットカード)または金融機関引き落とし(ETCパーソナルカード)で支払い。
- 有料道路を利用する時間帯により、「ETC割引」を受けられる
- ETC利用者のみが利用できる「スマートIC」から出入りができる。
機能としてはこの程度です。
車載器と外部の通信も、料金所やスマートICで料金精算のために行うものだけですから、「料金自動収受システム」以上のものではありませんでした。
もちろん、ETCレーンを使った無停止料金清算により料金所の通過はスムーズですし、スマートICの利用もできるため、それによる混雑回避だけでも大きなメリットです。
しかも、日本では「同乗者が飽きて疲れる前に、目的地に最高の効率で早く着く」ための効率的なルート選びなど移動時間短縮が重要で、そのために海外に比べカーナビの機能が充実してきた歴史があります。
その上、移動時間をさらに短縮できるETCは、同乗者からの「また渋滞?」という視線が厳しいミニバンユーザーにとっても大変ありがたいアイテムなのです。
「ETC2.0」で追加された主な機能とサービス
それでは、ETC2.0では従来型ETCに加え、どのような機能やサービスが追加されたのでしょうか。
以下、簡単に抜粋します。
【2017年10月現在実装されている機能とサービス】
- 料金所のETCレーンやスマートICに加え、運転支援サービスを提供する「ITSスポット」とも通信。
- 従来のFM多重放送などを利用したVICSサービス対応カーナビより広範囲な、最大1,000km先までの有料道路 / 高速道路情報を受信。
- ETC2.0車載器と接続可能なカーナビやスマホに、ITSスポットからの情報を表示。
- 有料道路上のサービスエリア(以下「SA」)やパーキングエリア(同「PA」)、一般道の道の駅にある「ITSスポット」で、周辺情報を提供。
- インターチェンジ最寄りの道の駅利用のための一時入退出は、有料道路を通行し続けたとみなされる(※社会実験中)。
- 一部道路でETC2.0割引が受けられる(2017年10月現在では圏央道と新湘南バイパス、大阪都心の一部のみ)。
ITSスポットとは
ETC2.0の通信機能を使い、広範囲の渋滞・規制情報提供や安全運転支援など様々なサービスが受けられる高速道路上のサービスエリアや道の駅にある場所をITSスポットと呼ぶ。
【今後予定される機能、サービス】
- 事故通行止めなどで一時退出、一般道経由で再進入しても、「一度降りた」とみなされず、ETC割引も適用。
- ITSスポットからの情報に基づいた渋滞回避ルートの通行でETC2.0割引。
- 物流会社が運行するトラックなどの効率的な運航管理を支援。
- 特殊車両や大型車両の走行経路を把握して、混雑状況の予測や回避ルートを提供。
- 駐車場の料金決済やカーフェリー利用の簡素化。
現状ではまだ少ない恩恵
ETC2.0の機能やサービスは「将来的にこうなる」予定が多く含まれ、具体化していないものも数多くあり、情報量やITSスポットもまだ少ないため、提供可能な情報は限定的です。
例えば走行車両への渋滞回避ルート指示はまだ十分に機能しておらず、本格化にはまだ時間がかかります。
SAやPA、道の駅でも、わざわざ「ITSスポット対応駐車スペース」に車を止めなけばならず、わざわざ止めたところで得られる情報量は「今ならスマホでちょっと検索した方が早い」レベルです。
ミニバンのドライバーが家族サービスに役立てるつもりでITSスポットに車を止め、対応端末を操作したところで、その頃には同乗者から「スマホで見た方が早い」と冷たい言葉が帰ってくること確実で、ドライバーの立場がありません。
そうなると一部道路の通行料金割引が数少ない恩恵となりますが、まだ対象道路が少なすぎます。
しかし、「そんなミニバンユーザーだからこそETC2.0を導入した方が良い」という理由がひとつだけありました!
数少ない恩恵「道の駅の利用」は、もっともホットな「ミニバンユーザー救いの神」
それは、現在社会実験が拡大中、利用するユーザーからも好評を得ている「道の駅の利用を目的とした、有料道路からの一時入退出」です。
ETC2.0車載器を積んだ車なら、対象となるインターチェンジ、またはスマートICから退出後、ETC2.0送受信機が設置された入口から道の駅に入り、退出から1時間以内に再び有料道路に乗れば、「その道路を乗り続けた」料金しか請求されません。
なお、道の駅入り口のETC2.0送受信機との通信は必須条件ですから、少なくとも1度は道の駅に立ち寄らねばならないことには注意しましょう。
ここでミニバンユーザーに押さえておいていただきたいポイントは以下です。
- 同乗者のトイレや体調の都合で、予定外のSAやPAに立ち寄る必要が生じるのは、ミニバンユーザーなら常識。
- その時利用している道路によっては、直近に都合良くSAやPAがあるとは限らない。
- そのような区間で道の駅が利用できれば、まさに救いの神!
- 特産物の販売など魅力的な道の駅ならば、なお良し。
- 1時間以内に再進入すれば良いので近くのガソリンスタンドで給油可能、少し調整するだけで予定通りの旅を続けられる。
- ガソリンが安く通行料金も据え置きで、家計にも大助かり!
- 同乗者からは「ETC2.0にしておいて良かったね!」とほめられるかも?!
仮にETC2.0車載器ではなく従来のETC車載器、あるいはETC無しならこのようなシチュエーションは望めないどころか「だからETC2.0にしとけって言ったでしょ!」と冷たく非難されるかもしれません。
そう考えると、未だに恩恵の少ないETC2.0において、ETCとの違いを真っ先に実感し、得をするのはミニバンユーザーではないでしょうか?
まだこの新サービスは社会実験段階とはいえ、大好評で実験箇所も拡大していることから、本格的開始の対象の道の駅拡大が望まれます。
多人数乗車が多いミニバン以外では、それほど急がなくても良い
一方、ミニバンユーザーでも「特に多人数長距離乗車には使わない」ならば、圏央道の一部区間など、割引対象道路を日常的に通らない限り、そう急いで導入しなくて構いません。
新しくETC車載器を買うならどのみちETC2.0車載器ですが、中古ミニバンを買ったらついていた車載器、前の車から乗せ換える車載器でも、使い続けてもデメリットは特に無いからです。
中古車の古いカーナビではほとんどETC2.0との接続ができませんし、地図の更新頻度や交通情報の提供、周辺情報の検索といった機能でスマホにかなわず、大画面が欲しければタブレットを使えば済む現在、ETC2.0のためだけに新しく後付けカーナビを買う必要もありません。
従来の車載器によるETCの恩恵で十分なので、いずれサービスが本格化してから、あるいは多人数乗車で道の駅に寄りたくなってから、ETC2.0の導入を考えてもよいでしょう。
まとめ:ETC2.0の利用を考慮するなら、どんなタイミング?
最後に、これから購入するのでどのみちETC2.0車載器になるという方を除き、「どのタイミングでETC2.0の利用を積極的に検討すべきか」についてまとめます。
【すぐに利用した方がいいユーザー】
- 家族や親族、親戚友人知人などを乗せ、多人数乗車を確実に行うことがわかっているミニバンユーザー。
- 今後いっそう拡大する「道の駅利用のための一時入退出」は、現状で十分に魅力的。
【それ以外でETC2.0車載器を導入した方がいいタイミング】
- よく使う高速道路など有料道路が、ETC2.0割引の対象になった。
- 通行止め時などに一般道へ退出、回避、その先で再進入しても通行料金が変わらない「一時退出・再進入の料金同一化サービス」開始。
- 渋滞回避ルート割引の開始(その場合のルート表示端末はETC2.0対応カーナビをわざわざ買わずとも、対応スマホやタブレットでも可)。
- 駐車場その他、ETC2.0による決済サービスが一般的になった時。
以上、違いはそれなりに大きいETCとETC2.0ですが、現状で必要なのは「確実に多人数長距離乗車を行うミニバンユーザー」か「ETC2.0割引のある高速道路や有料道路をよく使うユーザー」に限られます。
まだ不要というユーザーは、ETCとの違いを認識して自分にとってはどこで必要になるかを確かめ、焦らず最適のタイミングで導入していきましょう。
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
この記事があなたの車選びに少しでもお役に立てば嬉しく思います。