みなさんこんにちは。埼玉県のワンボックスカー専門店、ラインアップ代表の菊池です。
創業17年のミニバン・ワンボックス専門店で培った知識と経験を生かし、ユーザー様のお役に立てるよう、情熱を持って記事を書いていきたいと思いますので宜しくお願いいたします。
読者の方々からエスティマのエンジン不具合について相談を頂くことが多数あるのですが、今回はエスティマ30系(H13年式からH17年式)のエンジン油圧警告灯について詳しく解説したいと思います。
参考記事▶エスティマ30系の中古車を買う時の注意点|維持費や燃費はどれくらい?
直近でご相談頂いた内容は、「他店で購入したエスティマ、1年位前に油圧警告灯が点灯し、ディーラーにて修理。ディーラーからの説明では、オイルが汚れていてオイルストレーナー(ゴミを取り除くフィルター)が目詰まりを起こしていたのでそれを綺麗に清掃した。
にもかかわらず、1年経ち、再度、油圧警告灯が点灯してしまい、さらに、エンジンチェックランプも点灯し、エンジンから異音も出てきてしまった。エンジンオイルは適量入っている。」とのことでした。
一つの可能性として考えられるのが、エンジン内部に相当のスラッジ(ゴミかす)が溜まっていてこびりついており、1年前にオイルパンとストレーナーを清掃したけれども、その後、エンジンオイルが循環していく中で徐々にこびりついていたスラッジがはがれて混じってきて再度、ストレーナーが目詰まりを起こしエンジンオイルが循環されず、油圧警告灯が点灯。
もう一つが、オイルポンプの故障が原因でエンジンオイルが循環されず油圧警告灯が点灯。まあこれもスラッジによる目詰まりが正常作動しない原因にもなります。
他にも原因はあるので、実際に当店で現車をチェックしてみないとハッキリとしたことは言えないのですが、今回は「スラッジが原因でのエンジン油圧警告灯点灯」を解説していきます。
参考記事▶私のミニバン、メーターパネルに警告灯が点灯!絶対覚えておきたい警告灯の種類と意味。
エンジン油圧警告灯(オイルチェックランプ)とは?
このエンジン油圧警告灯はオイルチェックランプと呼ぶこともあり、「エンジンオイルの量が減ったら点灯する警告灯」だと勘違いされている方も多くいらっしゃいますが、正しくは「エンジンオイルの油圧が低下すると点灯する警告灯」になります。
簡単に説明すると、エンジン下部にエンジンオイルが溜まるオイルパンがあり、そこからオイルポンプでエンジン内部へエンジンオイルを循環させ、循環したエンジンオイルがオイルパンまで戻ってくる。その繰り返しになります。
人間に例えると、オイルの循環は血液の循環にあたります。心臓のポンプで血液を全身に送り出すのと同じで、血液が全身に循環しなくなってしまったら大変なことになりますよね。
なので、エンジンの油圧低下はエンジンブローに直結するとても危険な状態といえます。
オイルポンプやオイルストレーナーがスラッジで目詰することでエンジンオイルが循環されないことが、油圧低下の原因になります。
そもそもなぜスラッジが溜まってしまうのでしょうか?
スラッジが溜まる原因の一番は、「エンジンオイルが汚れ過ぎること」これに尽きます。通常5,000km毎にエンジンオイルの交換をした方が良いのですが、1万kmや2万kmエンジンオイル未交換で乗ってしまう方も中にはいらっしゃいます。
未交換で数万km走行してしまうと、エンジンオイルは真っ黒になり、すすのようなカスのようなスラッジと呼ばれるものがエンジン内部にこびりついてしまいます。このスラッジがあまりにも多くなると糞のような固形物として蓄積されていきます。
このスラッジがエンジンオイルに混じってオイルポンプやオイルストレーナーにこびりついていき、目詰まりを起こすんですね。
エンジンオイルが循環しないことで「油圧警告灯」が点灯し、酷くなると「エンジンチェックランプ」も点灯し、アイドリングが不安定になったり、エンジンからガチガチ異音がしてきたりマフラーから白煙が異常なくらい出てきたり、いわゆるエンジンブロー寸前の状態になることもあります。
「それなら、スラッジを取り除いて綺麗に清掃してあげればいいんだよね!」ということで、エンジン内部のフラッシング(スラッジを取り除く作業)やオイルストレーナーの清掃やオイルパンの清掃、を行い、スラッジもほぼほぼ取り除けて目詰まり部分も綺麗に清掃され、これで解決する場合もあるのですが、残念なことに、スラッジの量が多いと数日~数か月でまた同じ症状が再発してしまいます。
正直言いまして、こうなると、もう手遅れで打つ手がありません。
高額になりますが、エンジンを交換するのが間違いない方法と言えます。
もし、あなたがエスティマを中古で探しているなら、買う前にエンジン内部のスラッジ状態がどのレベルなのか?を把握しておくべきでしょう。
仮に走行3万kmのエスティマであったとしても安心してはいけません。極端な話をすると、新車から一度もエンジンオイルが交換されていない3万kmだったとしたら、エンジン内部はスラッジで真っ黒になっているからです。
逆に、走行10万kmのエスティマで多走行だけれども、エンジンオイルをマメに交換されていたならばスラッジも少なく、エンジン内部も良好な状態といえるでしょう。
どうやってエンジン内部のスラッジ状態を調べるの?
素人の方でも、簡単に確実にスラッジ状態を調べる事が出来る方法は、エンジン上部にあるフィラーキャップ(エンジンオイルを入れる口)を外してフタ裏と開けた口からエンジン内部の状態を見る事です。
実際にフィラーキャップ裏にスラッジが沢山こびりついていたり、開けた口から見える内部がスラッジで真っ黒だったり、カスが多い場合、そのエンジンは過去のオイル管理があまり良くなかった車と判断し、購入を見送るのが良いでしょう。
そもそも、中古車販売店のスタッフですら、こういった事を知らない人たちが沢山います。知っているけどチェックしない人たちも沢山いるでしょう。
今回、油圧警告灯の件でご相談頂いた方々、スラッジ以外の原因もありますし、どんな原因であれ、安価で修理が出来て無事に再起されていることを心より願っています。
信用出来る販売店かどうかは、「納車前に整備はしっかりやってくれるのか?」「クルマの品質を保証する鑑定書は付いているのか?」「購入後のアフター保証は充実しているのか?」これら3つは、賢く中古車を購入し、安心して長く乗り続けるために大切なポイントと言えます。
今回の記事が、あなたの車選びに役立てばばうれしいです。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。