みなさんこんにちは!埼玉県にある「ミニバン専門店ラインアップ」代表の菊池です。
自動車を公道で走行させるためには、車検に合格している必要があります。
車検は自動車を安全に走行させるためにおこなう国が定めた点検・検査のことであり、車検が通らない自動車での走行は危険です。
車検に通らないから修理が必要と言われてしまうことも多く、ドレスアップなどでカスタマイズしている場合や、車検点検項目の灯火類やブーツ類が劣化していると、基準に満たず車検が通らないケースが見られます。
継続して自動車に乗り続けるために車検を受けて通らない場合、どのような原因が考えられるでしょうか。
本記事では、車検に通らない場合の原因や対処法、車検前の注意点などを詳しく解説します。
車検とは?通らないとどうなる?
改めて車検について説明すると、正式には自動車検査登録制度のことを指します。
車検では、車が保安基準を満たしているかについて検査をおこないます。
保安基準には、車の各機能が正常に作動しているかや排気ガス規定を満たしているかなど、安全性や公害防止性能が検査されるのです。
車検は、道路運送車両法と呼ばれる法律で以下のように定められています。
第五十八条
自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
引用:道路運送車両法
自家用乗用車の場合の車検の有効期限は、新車登録から初回の検査が3年間、以降は車齢に関係なく2年ごとに車検を受けなければなりません。
なお、8ナンバー車の場合は新車登録から2年間で初回車検で以後2年、貨物登録の1.4ナンバー初回車検は2年で以後1年ごと、排気量250ccを超えるバイクは新車登録より3年間で以後2年ごとに実施する必要があります。
もし車検が通っていない場合、その車両を公道で走行させることができません。
無車検運転をおこなった場合、道路運送車両法第108条によって6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
また、道路交通法でも違反点数6点が加算され、一発免停となり免停30日間の処分が下されます。
無車検運行の場合、刑事処分と行政処分の両方の処分が下されるので絶対におこなってはなりません。
車検切れとなった場合、改めて車検を受けたくても自走できないため、仮ナンバーを取得したり積載車で移動させたりする対応が必要です。
車検に通らない原因とは
車検を受ける際には保安基準に従った検査がおこなわれますが、必ずしも基準をクリアできる確証はありません。
場合によっては、車検に通らないケースもあります。
車検に通らない主な原因として、以下が挙げられます。
各理由について、詳しく解説します。
各部品の劣化や故障・欠損
車を長い間乗り続けていると、各部品の劣化や故障が少なからず見られるものです。
定期的に交換しなければならないものから、基本的に交換は不要でも故障や欠損などで交換しなければならないものもあります。
代表的な例として、ライトの光量や色味があり、1灯につき6,400カンデラ以上の光量があることや光軸角度などが基準を満たず通らないケースがあります。
ほかにもタイヤの摩耗や劣化、オイル漏れ、マフラーやクラクションの破損や故障、ワイパーゴムの劣化、ウォッシャー液ノズルの目詰まり、ライト類の球切れなどで車検落ちすることが多いです。
違法改造
純正の状態からドレスアップしている場合、ドレスアップの内容次第で違法改造と判断されて車検が通らない場合があります。
代表的な例として「マフラーの排気音」と「車高」が挙げられます。
排気音が普通車で96db以下に抑えていない場合は違反となります。
また、エアロを付けたり車高を下げたりすることで、車高が9cm未満となって車検が通らないケースも多いです。
ほかにも、最近多いのが窓ガラスの可視光透過率です。
フロントガラスや運転席と助手席の側方に取り付けられている窓ガラスについては、可視光透過率が70%以上を確保していなければなりません。
オーロラフィルムを貼り付けている場合、透過率が基準を満たず車検が通らないケースも増えています。
自動車税や反則金の未納
自動車を保有している人に対して、毎年自動車税が課税されます。
自動車税は毎年5月に収める必要があり、もし自動車税を納税しないと車検や売却ができないのです。
最近では、車検時に自動車税納税証明書の提出が必須でしたが、最近では原則必要なくなりました。
ただし、これは自動車税を納めなくても車検を受けられるわけではなく、納税確認の電子化により不要になっただけです。
また、反則金の未納があると車検自体は受けられるものの、合格したとしても車検証が発行されません。
反則金の未納分を収めて、それを証明する書類を提示した上で車検を受ける必要があるのです。
よくある車検に通らない項目
車検が通らない理由として、違法改造に関する項目に該当してしまうと説明しました。
また、他にも経年劣化などによって車検落ちしてしまうことが多いです。
よくある車検に通らない項目として、以下が有名です。
各項目について、詳しく解説します。
車高
ドレスアップを目指す方にとって、ローダウンを必須と考えている場合が多いです。
ローダウンの方が洗練された印象が生まれ、走行面で見てもコーナリング性能を高められる特徴もあります。
また、ハンドル操作がキビキビした感覚を楽しめる点も魅力的です。
反対に、デメリットは乗り心地が悪くなることや、経年劣化によって段々と車高が下がってくることです。
ローダウンは、主に重心を下げたりサスペンションのスプリングレートを変更したりして対応します。
道路運送車両の保安基準第3条では、最低地上高は9cm以上でなければならないと規定されています。
もし、ローダウンにより最低地上高が足りない場合は車検が通りません。経年劣化によっても車高が下がるので、「以前の車検では大丈夫だったのに!?」なんてことも珍しくないので、車高の下げ過ぎには注意しましょう。
また、車高をコントローラー1つで調整できるサスペンションを取り付けていて、コントローラーが車検時に見られると普段は違反していて車検時だけ9cm以上に調整していると判断されて車検NGとなるケースもあるので注意が必要です。
社外ホイールのはみ出しやタイヤの劣化
車のドレスアップのために、タイヤを社外ホイールに変更する場合があります。
社外ホイールに変更する目的として、いわゆるハミタイ(車からはみ出したタイヤ)としたいというケースも多いです。
ハミタイとは、主に車軸から前方30度、後方50度にあたる車体よりタイヤが外に突出することを指します。
かつては、ハミタイは一切禁止されていましたが、2017年6月に保安基準が改正されたことで乗用車のタイヤについては10mm未満に限って、フェンダーからはみ出しても車検が通るようになりました。
ただし、引っ張りタイヤなどアルミホイールなどがはみ出している場合は車検に通りません。
また、純正のタイヤやホイールを使用しても、タイヤのひび割れや溝がないなどの場合は車検でNGとなります。
溝については、装着しているタイヤの中で1本でもスリップサインが出ている場合、車検には通りません。
クラクションやウォッシャーノズルの故障
対向車や前の車などに警告や注意を促すために使用するのが、クラクションです。
クラクションについて、音は連続するものであって音の大きさと音量が一定なものでなければなりません。
さらに、ホーン音の大きさが前方7メートルの位置において87db以上112db以下である必要があります。
上記2つの基準を満たしていないと、車検に通りません。
純正からヤンキーホーンやエアホーンなどに交換している場合、車検NGとなります。
また、ウォッシャーに関する項目も車検で確認され、もしウォッシャー液が正しく噴射出来ない場合は車検NGとなります。
ワイパーと同時にウォッシャーノズルが点検されて、もし故障していると車検を通すことができません。
ヘッドライトの球切れや光量不足
車検時には、ヘッドライトやスモールライト、方向指示器、ブレーキランプ、バックギアランプなどの灯火装備も確認されます。
もし、点灯するものにヒビ割れが発生していたり、光が外へ漏れた状態であったりすると、車検に通りません。
また、ヘッドライトについては球切れにより点灯しない場合や、1灯あたり6,400カンデラを下回る場合は車検NGとなります。
パワーウィンドウの故障
かつての車は、ドアガラスを開く際にはドアに付属しているレギュレーターハンドルを回して開閉していました。
今では、パワーウィンドウが普及したことで誰でも手間なく開閉できるようになりました。
パワーウィンドウの場合、モーターやレギュレーターが故障することで動作しなくなることが多いです。
パワーウィンドウが故障して窓が閉まりきらない場合、車検NGとなります。
故障により動作が重くなって開閉が遅くなる程度であれば問題ないものの、完全に閉まりきらないor開かないようになった場合は修理が必要です。
マフラーの排気音や濃度
マフラーのドレスアップを楽しむ場合、排気音は車検時に注意しなければならないポイントです。
マフラーを交換することで、サウンドを楽しんだりトルクや出力を高められたりする特徴があります。
ただし、車検時には排気音が基準以下でなければなりません。
2010年3月31日までの生産車の基準値は、普通自動車が96デシベル以下でなければなりません。
2010年3月31日以降に生産された自動車の場合、以下の基準を満たす必要があるのです。
- 消音器(サイレンサー)が付いていること
- 近接排気騒音96デシベル以下であること
- 加速騒音が82デシベル以下もしくはECE規則・EU指令に適合していること
製造年によって基準が異なる点には、十分注意してください。
また、触媒が取り付けてられていない場合、車検NGとなります。
ほかにも、マフラーは最低地上高9cm以上であり、フロアラインより10mm以上飛び出していない状態としなければなりません。
発炎筒やヘッドレストの欠損
普段は使用しないものの、自動車が故障した際などに発炎筒を使用する必要があります。
これは、道路運送車両の保安基準第43条の二で「灯光の色、明るさ、備付け場所等に関し告示で定める基準に適合する非常信号用具を備えなければならない」とされており、必ず装備していなければなりません。
なお、あくまでも発炎筒が必須となり、「発煙筒」では基準を満たさないので注意してください。
発炎筒が正しく使用できない状態となっている場合、車検NGとなります。
また、車内ではヘッドレストがない状態は保管基準を満たしません。
ヘッドレストは、単純に頭をカバーして突かれにくくしてくれるだけでなく、事故時に頭が後ろに倒れないように乗員を守る役割があります。
よって、ヘッドレストがない状態は危険であり、車検NGとなります。
車検に通らない時の対処法
車検を受けてNGとなった場合、以下の方法で対処できます。
各対処法について詳しく紹介するので、もしNGになっても慌てず対応してください。
当日再検査する
車検NGとなっても、当日の審査時間内に限定されるものの保安基準に不適合と判定された箇所の検査を2回まで受けられます。
1回の申請につき、初回入場を含めて3回まで受けられる形です。
もし初回の入場を含めて3回までに検査に適合できなかった場合、再申請して受検することが可能です。
なお、整備工場などで整備を依頼した上で再検査を受ける場合、整備工場に支払う整備費用は別途負担が必要となります。
限定自動車検査証を発行後再検査
車検を受けてNGとなって、後日再検査を受ける場合は限定自動車検査証を発行してもらい、検査日を含め15日間のうちに再検査を受けることができます。
限定自動車検査証とは、継続検査にNGとなった場合に通常は自動車検査証を返付しないことになっているものの、整備を目的とする場合などのため自動車を運行できるように交付されるものです。
限定自動車検査証の有効期間は検査日から15日間となりますが、限定自動車検査証での運行ができる期間とは一致しません。
有効期間内であれば、不適合箇所を整備して限定自動車検査証を提出して検査申請をおこなえます。
この場合、検査手数料は自動車審査証紙代で1,300円、自動車検査登録印紙が400円かかります。
車検を受ける前にやっておくべきこと
車検を受けて通らない場合、余計な手間と費用がかかるものです。
そこで、車検を受ける前に以下のような対応を図ると、車検でNGとなることを防止できます。
各対応手段について、詳しく見ていきましょう。
車検点検を受ける
車検を受ける前に、車検点検を受けることで事前に車検で問題となるか箇所を明確にできます。
車検点検とは、正式には法定点検と呼ばれるものであり、車が安全に公道を走行できるように、車が故障していないかを事前に点検整備することです。
次の車検までの安全性を担保できる点検ではないものの、故障箇所を明確にして事前に修理対応などを図れば、車検をスムーズに受けられます。
純正部品は保管しておく
もし自動車のドレスアップや改造を考えている場合、改造前に車検対応パーツかどうかを確認してください。
マフラーであれば、車検対応保安基準適合の商品として平成22年3月までに生産されたものはJASMA認定品、それ以降は性能灯確認マフラーかどうかをチェックする必要があります。
社外品は純正部品に比べて劣化が早い部品が多いので、純正部品も残しておくのが良いでしょう。
代表的な事例では、ヘッドライトバルブを車検対応のものに交換しても、2回目の車検では劣化してしまって車検不適合となるケースもあります。
万が一のことを考えて交換前の純正部品は残しておき仮に車検を受けてNGとなった場合に即座に交換できるようにしておくことをおすすめします。
まとめ
車検は自動車を安全に走行するために、重要な検査となります。特にドレスアップなどをおこなっていなくても、パーツの劣化などで車検に通らないケースも多々あります。
車検に通らなかったとしても、冷静に対応すれば再検査で合格することが可能です。今回紹介した内容を参考に、抜かりなく準備して車検に臨むことをおすすめします。
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